第85回日本プロゴルフ選手権(2017年)
2020.04.13
優勝トロフィーを掲げる宮里優作(写真提供:日本プロゴルフ協会)
大声援を受けて地元宮里優作が初の戴冠
2007年以来、2度目の開催となった沖縄・喜瀬CC(7217㍎、パー72)。沖縄返還45周年、PGA創立60周年と開催コースの金秀グループ70周年と記念の開催になった。前年2016年リオデジャネイロ五輪でゴルフ競技が108年ぶりに行われたが、五輪コースで使われていたシーショアパスラムという世界基準の芝を採用した。天候不順で雨が多かったためグリーンが軟らかく、重い状態での大会となった。第1ラウンドは谷口徹が8バーディー、ボギーなしの64をマークして首位に立った。イン10番スタートから4連続バーディー、上がり3ホール連続バーディーなど見せ場を作ったベテランは「今週は久々に暑いのでしんどい(笑い)。体の動きがあまりうまく機能してなくて。ティーショットがだめだけどね、アイアンはいい感じがでていましたね」と、振り返った。
優勝すれば、日本プロ最年長優勝記録の尾崎将司(49歳109日=1997年)に次ぐ、49歳93日と16日差で2位となる。10年前のこのコースでの大会でも初日首位だったが、最終22位に沈んだ。「まあ、まだ初日ですからね。今の感じで続けていけたらいいのかな」と、話している。
1打差2位につけたのが韓国のイム ソンジェ。高校在学中の2015年に17歳で日本のQTに1次から挑んでプロ宣言した。日本ツアーメンバーとして活躍中の19歳。谷口とは30歳近く離れている。「イメージ通りにできた。パターを中心に練習をしてきた。風が意外と強く感じたが、風の向きを考えながら打つ方向を変えて対応した」と話している。
3打差3位は6バーディー、1ボギーだった重永亜斗夢。「久しぶりか…。気持ちいい」。と笑顔を見せ「今日はパットが良かった。これまでツアー3戦はピンタイプのパターを使っていましたが、それが入っていなかったし、芝目のきついグリーンだと思ったのでツーボールのパターに変えたらドハマりしました」と要因を話した。
第2ラウンド、谷口は2つスコアを伸ばし、通算10アンダーで2位重永に2打差の首位を守った。2、3番連続ボギーで一度は首位を譲ったが、「バーディーチャンスを作って行けばいいと思って。そんなに焦らず、余裕を持ってのプレーができました」と7番でバーディーを奪って流れを再び取り戻し、4バーディー、2ボギーの70で首位に返り咲いた。気になったのが地元の宮里優作。猛チャージしていることを声援や拍手、指笛、スコアボードで知っていた。「優作にとっては地元での大会だし(前試合の中日クラウンズで)勝っているし、調子が良さそうなのは分かっている」と警戒した。
その宮里は27位スタートから7バーディー、1ボギーの66をマークして、谷口に3打差の3位に浮上した。前日の修正点、ティーショットの方向性を取り戻し、1番から連続バーディー発進した。17番でボギーをたたくまでに7バーディーを奪ってギャラリーを沸かせた。「沖縄のギャラリーの声援、応援はとても温かく、プレッシャーが掛かるようなことはありません。昨日のゴルフからすれば信じられないスコア。結果を求められているのは分かっていますが、予選を通過してホッとしています」と話した。
第3ラウンドは朝から雷雨のためスタート時間を遅らせた。結局、5時間遅れでスタートした。
首位スタートの谷口は、序盤からスコアを落とす展開。一進一退から、かなり日も傾いてきた13番でボギー、14番ではダブルボギーで通算7アンダーになったところで、18時29分に日没サスペンデッドになった。「今日はパットが悪かった。(2、3番ホールを含め)3パットが3回。ショート、ショートで届かない」と振り返り「まだ残りホールは一杯あるし、切り替えて、気合と根性であと22ホール、最後に笑えるように頑張りますよ」と、3度目の優勝を意識した。
同組の宮里もスコアを崩した。「良いショット、パットを打ってもスコアが伸びて行かない、ストレスのたまるラウンドでした」と振り返る。谷口に付き合うように13、14番連続ボギーで通算5アンダーに落としてサスペンデッドに。「明日は仕切り直して、(第3ラウンド)残り4ホールで一つでもバーディーを取れればいい。決して悪い状態ではありませんから」と逆転優勝へ望みをつないだ。
最終ラウンドでは、残りホールを消化して8アンダーとした谷口が首位、2打差に宮里でスタート。前日とは一転、太陽が照り付け、蒸し暑くなった。
第1ラウンドから首位を守って来た谷口は、1番で宮里とともにバーディー発進したが、2番でボギーをたたき、バーディーとした宮里に並ばれる。3番でもボギーで首位を明け渡した。宮里は4番から3連続バーディーで突き放す。谷口も7、8番連続バーディーで一時1打差に詰め寄ったが、9番で2㍍のチャンスを外し、同じような距離を入れた宮里が2打差で抜け出して、そのまま地元優勝に突き進んだ。66で回って、通算12アンダーとして日本プロ初優勝。最終ラウンド66をマークしたブラッド・ケネディ(オーストラリア)が3打差2位、谷口は小平智とともに3位だった。
谷口は「9番を入れておきたかった。大事な(勝負)ところで打ち損ないのパットでは…。入れていれば、まだまだ(逆転して)行けると思っていた」と振り返り「優作はショットもパットも昔よりうまくなった。(プレーぶりを)見ていて落ち着いていたし、安定感があった」とたたえた。
地元の大歓声を受けて、初のプロ日本一に輝いた宮里は「谷口さんは途中ボギーで崩れてしまいましたが、少しでも隙を見せたらまずいと思って、気を抜かずにプレーし続けました」と話した。ウイニングボールは、母の日のプレゼントになった。
プロフィル
宮里優作(みやざと・ゆうさく)1980年(昭和55)6月19日生まれ、沖縄県出身。父・優さんの指導で、兄・聖志、妹・藍とともにジュニア時代から注目されていた。東北福祉大では日本アマ、日本オープンローアマ、日本学生3連覇など数々のタイトルを取って2002年にプロ転向。プロ入り後はなかなか優勝できなかったが、33歳の2013年日本シリーズで最終ホールの劇的チップンバーディーで初優勝した。日本プロを制した2017年に賞金王に輝いている。ツアー通算7勝(2019年終了時)。
第85回日本プロゴルフ選手権
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 宮里 優作 | 276 | = 71 66 73 66 |
2 | B・ケネディ | 279 | = 71 73 69 66 |
3 T | 小平 智 谷口 徹 |
280 | = 69 69 73 69 = 64 70 74 72 |
5 T | 姜 庚男 今平 周吾 |
281 | = 70 72 74 65 = 71 70 71 69 |
7 T | 上平 栄道 大堀 裕次郎 P・マークセン |
282 | = 75 70 68 69 = 73 70 74 65 = 70 69 73 70 |
10 T | 出水田 大二郎 任 成宰 重永 亜斗夢 |
283 | = 74 71 70 68 = 65 75 72 71 = 67 69 76 71 |