第83回日本プロゴルフ選手権(2015年)
2020.02.21
優勝トロフィーを掲げるアダム・ブランド(写真提供:日本 プロゴルフ協会)
レフティーのブランドが余裕に逃げ切りで初出場初優勝
埼玉・太平洋クラブ江南コース(7053ヤード、パー71)で行われた。第1ラウンド、32歳のK・T・ゴンが9バーディー、1ボギーの8アンダー63の快スコアをマークして首位に立った。インスタートの10番でグリーンエッジから5㍍、12番でもグリーンエッジから12㍍を入れて「波に乗れたと思います。難しいインを3アンダーで回れたのが大きかった」と振り返った。韓国ナショナルチームの経験があり、東北福祉大では主将を務めて、2005年からツアーに参戦。06年冬から2年間、兵役に就いている。「このスコアは予想していなかった。4日間出るとは思えないので、明日からは耐えるところを耐えていきたい」と話した。1打差でアダム・ブランド(オーストラリア)と武藤俊憲がつけた。
第2ラウンドでは、68で回って通算10アンダーにスコアを伸ばしたブランドが首位に立った。日本参戦2年目の32歳。レフティーだが、子供のころは右利きでテニスをしていたという。14歳からゴルフに切り替え、アマチュアとしても活躍し、プロ転向後は国内外の試合に挑戦している。「今年の賞金ランキング5位以内を目指します」と目標を掲げている。2打差にゴンが残り、3打差に8人がつける混戦模様になった。
第3ラウンドでは、ブランドが8バーディー、1ボギーと異次元とゴルフを見せて7アンダー64で回り、通算17アンダーで2位に6打差をつけて首位を独走した。右ドッグレッグのホールが多いため、左利きでドローヒッターのブランドにとってはイメージしやすいといい「そのおかげでフェアウエーをとらえられていると思う」と振り返った。6打差2位につけたのは川村昌弘と岩田寛。川村は「後半少しばたついたけど、ショットでスコアを作っている。修正点も少ないので」と、自信をみせた。ボギーなしでブランドと同じ64で浮上した岩田は「初日の前半はずっとパーオンできず、ずーと、乗らないんじゃないかと思いました。今日は不思議とチャンスが多かったです。最終日は、雰囲気と自分と相談しながら行きます」と話した。
最終ラウンド、初出場初優勝を目指すブランドは「前半は緊張して左に行ってしまった」と振り返るように、3日目までとは違って、ショットが不安定だった。「隙だらけだった」と最終組の岩田が振り返ったが、追う側もなかなか伸ばせない。17アンダーを行ったり来たりしているブランドだったが、追う側では小平智が一時13アンダー、藤本佳則も13アンダーに伸ばすがそこから進めない。李尚熹が18番のバーディーで13アンダーでホールアウトした。ブランドは17アンダーで来た18番で「ダブルボギーを打っても勝てると思った」と勝利を確信した。最後をボギーで上がって通算16アンダー、結果的には3打差だったが、余裕の逃げ切りで1973年ツアー制度施行後4人目の初出場初優勝を決めた。
日本プロでは初のオーストラリア出身選手、初のレフティーの優勝にもなった。2005年にプロ転向し、その年のウエスタンオーストラリアンPGA選手権を制している。カナダツアーでは2勝、米ツアーの下部ツアーでも戦ってきた。日本ツアーでのビッグタイトルに「今までの苦労が報われた」と話した。「メンタル面で悩み、プレーするのが嫌だったこともあった」という。スポーツサイコロジストにも相談するなど、メンタル面を強化したことが今回実を結んだ。
プロフィル
アダム・ブランド1982年8月26日生まれ、オーストラリア・ミルデューラ出身。アマ時代にオーストラリアで2勝し、2005年にプロ転向。2007年にカナダツアーで2勝、2009年から3年間米下部ツアーで戦ってきた。2014年から日本を主戦場とし、18年からは欧州ツアーに出場している。日本での優勝は日本プロの1勝。
第83回日本プロゴルフ選手権
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | A・ブランド | 268 | = 64 68 64 72 |
2 | 李 尚熹 | 271 | = 66 70 67 68 |
3 | 藤本 佳則 | 272 | = 66 69 69 68 |
4 T | 冨山 聡 金 享成 S・ストレンジ 小林 伸太郎 川村 昌弘 |
273 | = 67 68 70 68 = 68 71 66 68 = 68 70 67 68 = 71 70 64 68 = 69 66 67 71 |
9 T | 河野 祐輝 額賀 辰徳 |
274 | = 70 67 69 68 = 68 71 67 68 |