第80回日本プロゴルフ選手権(2012年)
2020.07.17
優勝トロフィーを掲げる谷口徹(写真提供:日本プロゴルフ協会)
谷口が前年の雪辱、完全優勝で大会2度目V
栃木・烏山城CC(7193ヤード、パー72)で行われた80回目の大会。雷が多い土地柄だが、第1ラウンドはその洗礼を受けた。前日までの雨のため、コースコンディションが悪く、プリファードライが適用されたが、この日は雷雲接近による中断があり、42人がホールアウトできず、翌日に持ち越した。
その中で暫定首位に立ったのが谷口徹。インスタートで途中中断をはさみ、最終9番の3打目を打った時に日没サスペンデッドのサイレンが鳴ったが、プレーを続け、2メートルのバーディーでフィニッシュ。7バーディー、ボギーなしの65で回った。前年は首位に2打差だった第3ラウンドを腰痛で棄権した苦い経験がある。スポーツニッポン紙によると「去年はいいところにいてやる気も満々だったのに、あんな形で終わってしまった」と悔いを残している。「悪いなりにもいい感じでプレーできた」と振り返った。
2打差3位につけたのが谷原秀人。「ラフでも球を拭けるのは初めて。特別ルール(プリファードライ)で助かったこともあった」と、3番から3連続など7バーディー、2ボギーだった。ここ数年悩まされた左肩痛が、ろっ骨を動かすリハビリで解消したのが大きいという。
翌日は第1ラウンドの残りと、第2ラウンドが行われた。首位スタートの谷口は6バーディー、4ボギーと出入りが激しかったが2つスコアを伸ばして通算9アンダーで首位をキープした。「がっかりでした」と首を傾げ「ショットがうまく振れていない。ミスが多すぎ」と不満を漏らしたと、日刊スポーツ紙は伝えている。
3打差2位に浮上したのが深堀圭一郎。6バーディー、ボギーなしの66をマークして、43位から一気に優勝争いに加わった。賞金シード権を失って、生涯獲得賞金ランクで出場しているこのシーズン。不振の原因だった左足底痛を前年手術しての復活気配に「いい位置に上がってうれしい。自分の想像力でイメージしてやれた」と話している。
この大会を苦手としている人気者の石川遼は、通算3オーバーの72位で予選落ち。大会出場4度で3度目の予選落ちに「なかなかうまくいかなかった。悔しい経験です」と肩を落とした。
第3ラウンド、グリーンが硬くなった上に時折10㍍以上の強風が吹くコンディションに、80以上を13人がたたくなど各選手のスコアを崩す展開になった。最終18番で1.5㍍のパーパットを入れて、76と崩れながらも通算5アンダーで首位を守った谷口は「リーダーを守り、最低限の仕事は出来た」と振り返り「気を緩める暇はない。あすもしっかりパーキープ」と、スポーツ報知は伝える。
パワーヒッター、小田孔明がこの日のベストスコア70をマークし、通算3アンダーで谷口に2打差の2位に浮上した。スポーツニッポン紙によると、前夜から首痛に見舞われ「朝起きた首が回らなかった」と、痛み止めを服用してのラウンドになったという。「頭が上がらないから自然とパンチショットになった」と、強風下で低弾道が威力を発揮した。「下心を出さずに自然体でいきます」と最終ラウンドへの抱負を口にした。
最終ラウンドは、崩れた小田が早々に姿を消し、谷口と3打差4位スタートの深堀の一騎打ちになった。勝負は最終18番にもつれ込む。1.5㍍のパーパットを入れて通算3アンダーで深堀がホールアウト。1打差で首位を守ってきた後続の谷口は左ラフからの第2打で、グリーン上段に乗せ、下段のピンまで16メートルと距離を残した。朝、競技委員がピン位置を決めるために転がしているところを見ており「寄らないことはないと思った」という絶妙のパッティングで30センチに寄せて、パーをセーブ。通算4アンダーで逃げ切って、完全優勝を果たした。
「パーをとることに集中して(他の選手は)気にならなかった」と振り返る。前年の棄権に触れ「去年は欠席したようなもの。なんちゃって2連覇です」と口もさえた。予選ラウンドの軟弱なコース、雷から決勝ラウンドに入っては強風に硬いグリーンと、天候によってコースの表情が変わった4日間、44歳のベテランが技術の引き出しの多さを見せての完全優勝だった。
プロフィル
谷口徹(たにぐち・とおる)1968(昭和43)年2月10日生まれ、奈良県出身。13歳でゴルフを始め、同大を卒業後、1992年プロ入り。98年三菱ギャランで初優勝し、ツアー通算20勝(2019年シーズン終了時)。賞金王2回(2002年、07年)。
第80回日本プロゴルフ選手権
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 谷口 徹 | 284 | = 65 70 76 73 |
2 | 深堀 圭一郎 | 285 | = 72 66 76 71 |
3 | 薗田 峻輔 | 288 | = 69 72 74 73 |
4 T | 金 度勲 谷原 秀人 |
289 | = 75 69 75 70 = 67 73 74 75 |
6 T | 池田 勇太 李 京勲 ドンファン B・ジョーンズ 近藤 智弘 塚田 好宣 |
290 | = 76 69 75 70 = 70 72 76 72 = 72 71 75 72 = 70 71 76 73 = 70 70 75 75 = 73 72 71 74 |