第78回日本プロゴルフ選手権(2010年)
2019.12.17
優勝トロフィーを掲げる谷口徹(写真提供:日本 プロゴルフ協会)
42歳、谷口徹が技で初優勝
31年ぶりの男子トーナメント開催となった長崎県。パサージュ琴海アイランドGC(7060ヤード、パー70)で行われた。日本プロ3度目の出場となる18歳の石川遼が登場。前の試合(中日クラウンズ)で世界新記録の58ストロークで優勝しており、その人気もあって第1ラウンドには史上最多の6557人のギャラリーが足を運んだ。
5アンダーをマークして首位に立ったのは、久保谷健一。7~8メートルのロングパットを2度沈めるなどパッティングが好調だった。ぼやきが得意? だけに、そんなゴルフにも「あまり喜べない。心が痛い。今日は出来すぎ」と日刊スポーツ紙はぼやきぶりを伝えている。
1打差2位には過去2度優勝の片山晋呉と、45歳のベテラン芹沢大介が並んだ。片山は、難しいコースセッティングに「うれしい。総合力が試されるし、技術の差が出ますから」と話した。芹沢は「年に1度しかない快進撃」と笑った。
多くのギャラリーを引き連れた石川は、インスタートでイーブンパーで折り返した後、1番から3連続ボギーとしたが、4番で3メートルを入れ、5番でも1メートルにつける連続バーディーで盛り返した。8,9番でも3メートルを入れて1アンダー、17位とまずまずのスタートを切った。マナー違反のギャラリーの携帯カメラによるシャッター音に悩まされたが「初観戦の方も多いし、そういうことがあってもおかしくないと思った。たくさんの方が見に来ている証拠。これだけ注目されている大会ということがうれしい」と話している。
第2ラウンド、石川の天を仰ぐシーンが繰り返された。3番で第2打をOBにするダブルボギーなど、11番までに通算4オーバーにスコアを落として予選落ちのピンチに。13番では右セミラフからの第2打をOB、打ち直しもOBとして8をたたいた。この日78で通算7オーバー、80位で予選落ちした。スポーツニッポン紙は「自分のゴルフをさせてもらえない。実力の差が出るコースで、まだ力がないんだと確信させられた」と悔しさを伝えている。
優勝争いは平塚哲二が64の好スコアで回り、通算8アンダーで首位に立った。「セカンドでどこに乗せるか、グリーンを外すときはどこがいいかなどを考えて回った」と、日刊スポーツ紙によるとマネジメントがよかった。3打差2位には岩田寛が続いた。
第3ラウンドでは、平塚がイーブンパーで足踏みする中で、谷口徹が65をマークし、通算8アンダーで首位に並んだ。6番では残り84ヤードを直接入れるイーブルを奪った。スポーツニッポン紙によると、「新聞に載るかもしれないので一応飛び跳ねておこう」と喜びを表現したという。難コースで小技のうまさを披露し「久々にチャンスが来たんでタイトルをもらって帰ろうかな」と、自信のコメントも残している。
平塚は「パットのラインが読めなかった。このタイトルを取れば日本で一番。そういう意味では味が違う」と初タイトルに意欲をみせた。
最終ラウンド、谷口と平塚がデッドヒートを展開した。谷口は序盤の2ボギーで平塚にリードされるが、平塚が4番でトリプルボギーをたたいて谷口が首位に。そこから平塚は12番までに4バーディーと反撃して通算10アンダーとし、谷口を逆転。谷口は1打差で迎えた13番パー5で第3打を70センチに寄せ、14番では5メートルを沈める連続バーディーで再度逆転した。15番でともにボギーとし、通算10アンダーで谷口が勝利を飾った。
2004年、07年の日本オープンに続いて、日本タイトル2冠となった。優勝賞金4000万円を獲得し、生涯獲得賞金は12億円を突破した。「年齢(42歳)的に、次があると思っていたら大間違い。今日だけは絶対もらって帰ると言い聞かせてプレーした。ようやくNO・1プレーヤーになれました」と話している。
この大会では石川遼人気、久々の長崎開催もあって、4日間合計では史上最多の3万7251人のギャラリーを動員した。
プロフィル
谷口徹(たにぐち・とおる)1968(昭和43)年2月10日生まれ、奈良県出身。13歳でゴルフを始め、同大を卒業後、1992年プロ入り。98年三菱ギャランで初優勝し、ツアー通算20勝(2019年シーズン終了時)。賞金王2回(2002年、07年)。
第78回日本プロゴルフ選手権
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 谷口 徹 | 270 | = 69 68 65 68 |
2 | 平塚 哲二 | 271 | = 68 64 70 69 |
3 | 藤田 寛之 | 273 | = 67 70 68 68 |
4 | 上平 栄道 | 276 | = 71 68 70 67 |
5 | 片山 晋呉 | 277 | = 66 70 69 72 |
6 T | 高山 忠洋 深堀 圭一郎 横尾 要 |
278 | = 68 68 72 70 = 70 69 69 70 = 71 70 67 70 |
9 T | 富田 雅哉 池田 勇太 |
279 | = 73 70 66 70 = 68 71 69 71 |