1996年5月13日付日刊スポーツ

若手の壁に。尾崎将司が49歳４カ月の最年長優勝

　尾崎将司が最年長優勝記録を更新した。
　岡山・山陽ＧＣ（7236ヤード、パー72）で行われた。第1日、首位に立ったのは尾崎将とＴ・ハミルトン。練習日に「15アンダーで優勝」を宣言していた尾崎将は４バーディー、ボギーなしの68をマークした。「セカンドの距離感が今イチ。お粗末なパッティングもあった」としながらも「誰にも破られないコースレコードをつくりたい。それが目標」と、日刊スポーツ紙が自信を伝えている。この日話題になったのが、53歳のシニア選手、安田春雄。17番で５メートルのパーパットを入れるなどボギーなしの３アンダー69で回って１打差３位につけた。シニアツアーの試合が前年10試合から６試合に減ったため、最終予選会に挑戦してこの大会の出場資格を得た。「レギュラーで活躍することでシニアにもっと注目してもらいたい」という。この大会は２位２度と勝っていない。
　尾崎将は第２日もボギーなしのラウンド。６バーディーを奪って早くも通算10アンダーに乗せて、首位を守った。49歳の尾崎将に対して、若手が挑み始める。尾崎将と同組で回ったルーキーの横尾要が67で回って通算８アンダーで２打差２位に浮上した。５番でバンカーから直接入れるなど７バーディー、２ボギー。後半のインでは自己新の31をマークした。「（これまでも）一緒に回ると結果もいい。かなわないと思うけど、そんなことを考えてもしょうがないので、自分のゴルフをすれば」とスポーツニッポン紙はコメントを伝えている。４打差３位に伊沢利光、田中秀道、５打差９位に丸山茂樹ら若い選手が上位に進出してきた。
　第３日、尾崎将の好調さは続く。５バーディー、ボギーなしの67で回り、54ホールボギーなしで、戦前に予想した「15アンダー」に到達。「ノーボギーなんて自慢にならない。67なら７バーディー、２ボギーの方がいい」と尾崎将らしい言い回しで「優勝スコアは21アンダー。私がすばらしいゴルフをお見せします」（日刊スポーツ紙）とコメントもさえる。６打差３位に後退した横尾に代わって、３打差２位に浮上したのが丸山茂だった。７バーディー、ボギーなしの65をマーク。後半のインは31で回った。「３打差なら追いつけないとは思わない。ジャンボさんは最低68で回ってくるだろうから、僕は65。今日のゴルフそのままでいきます」（スポーツニッポン紙）といい「ジャンボさんの傾向と対策はできています」と、尾崎将の完全優勝阻止を宣言した。
　最終日、尾崎将と丸山茂の一騎打ちは、序盤でカタがついた。３番パー３で尾崎将が風の読みを間違えてグリーン奥へＯＢ。丸山茂は２・５メートルのバーディーチャンスにつけ、一気に並ぶ可能性もあった。しかし、尾崎将は打ち直しで上２メートルにつけてボギーでしのいだ。対する丸山茂はバーディーを逃し、１打縮まっただけ。続く４番パー５では、丸山茂が第2打を右に大きく曲げてダブルボギー。３番で追いつけず、４番で自滅し、尾崎将を止められなかった。結局、尾崎将は４日間60台の69をマークし、通算18アンダーで完全優勝を達成。74に終わった丸山茂は２位を確保したものの、８打差をつけられる完敗だった。
　尾崎将は49歳４カ月で大会最年長優勝記録（46歳８カ月、1962年中村寅吉）を大幅に更新。若手の前に立ちはだかった。丸山茂は「子供がパンチをして大人に手で押さえられる感じがした。この次は倒しますって言ったら、鼻歌で流されました」とコメントしている。「このコースがやさしいわけではなく、僕の力がすごいんです」と笑わせた尾崎将。「マル（丸山茂）がダボ２回だろ。２位の選手が肝心なところでやってくれるから楽よ。これじゃ、接戦にもならないわけだから」と、若手の奮起も促した。日本プロ優勝は最多の６度目で、日本タイトルは18勝になった。通算勝利も95勝に積み上げられた。

プロフィル

尾崎将司（おざき・まさし）1947～
徳島県出身。徳島海南高校時代は野球部のエースとして選抜高校野球大会を制し、西鉄ライオンズに入団。実働3年で退団してプロゴルファーを目指し、23歳でプロテストに合格した。前人未到の通算113勝（海外1勝含む）を誇り、賞金王は計12回。ゴルフ人気を高めた立役者である。2010年に世界ゴルフ殿堂入り。

第64回日本プロゴルフ選手権