第41回日本プロゴルフ選手権(1973年)
2014.09.01
10月19日付日刊スポーツ
ぶっちぎりの青木、初日本一
青木功が初のプロ日本一となり、71年に日本プロで初優勝した尾崎将司とともに「AO時代」が名実ともに幕を開けた大会になった。舞台は岐阜・岐阜関カントリークラブ。7245ヤード、パー72と、当時としては長い、難コースでの開催だった。下馬評では、優勝候補筆頭は前週の「太平洋マスターズ」に優勝した尾崎だった。
青木は初日に爆発的なスコアをマークして、尾崎をはじめ、他の選手の度肝を抜いた。1番(575ヤード、パー5)で4メートル、2番(210ヤード、パー3)で5メートルを沈めて連続バーディーでスタート。4番(405ヤード、パー4)ではグリーンを外したがピッチングウエッジでチップイン。460ヤードの7番ミドルでは10メートルを放り込んでアウト32。圧巻は10番(470ヤード、パー4)からの4連続バーディーで、ボギーなしの8アンダー64をマークした。2位に4打差。1面で報じた日刊スポーツによると「練習ラウンドでは68か69で回れればいい」と思っていたという。3週前の日本オープンで長年愛用していたパターにひびが入って使えなくなり、同型の新しいパターを使い始めていた。「きょうはよう入った。もうパターはこれ1本しかないから」と、話している。4打差には島田幸作、村上渉、柳田勝司がつけ、「(青木が)もう優勝スコアに届いているじゃないか」といった尾崎は71で13位発進になった。
2日目、青木は立て続けのピンチを好調なパットでしのぐ。2番5メートル、3番(465ヤード、パー4)1メートル、4番4メートルのパーパットを沈め、5番(195ヤード、パー3)で5メートルのバーディー。この日は13番(410ヤード、パー4)の3メートルとバーディーは2つだったが、2日間ボギーなしで、通算10アンダーで首位を走る。4打差2位にプロ2年目の村上渉がつけた。尾崎は苦闘の日。8番(410ヤード、パー4)で左の林に打ち込み「(青木に)大きく水をあけられていたから」と林越えの強攻策に出たが木に当たってOB。トリプルボギーをたたき、この日74とスコアを崩して19位に後退した。
3日目、青木は2番で初のボギーをたたく。報知新聞には「むしろ、気が楽になりました」とコメントが載っている。5バーディーを奪って、通算14アンダーにスコアを伸ばしてホールアウト。8打差の2位につけた島田は「だれがやっても勝てない本当に立派なスコアだ」と脱帽した。尾崎は9番(415ヤード、パー4)で右OBをたたいたが70で回って通算1アンダーで8位に浮上した。
青木の一人旅は最後まで続いた。最終日は雨。青木は1番でボギーとしたが3番で1.5メートルのバーディーで取り返し、14番(200ヤード、パー3)でバンカーに入れてボギーにしたものの73で回り通算13アンダー275でホールアウト。70で回った安田春雄が8打差の2位に入り、尾崎は14打差の6位。青木は飛びぬけたスコアで完全優勝し、初めて「日本」タイトルをつかんだ。大会前にワールドカップ(スペイン)の代表に決まっており「日本一の看板を背負って出場でき、こんな名誉なことはない」と話している。また、父・治助さんとの「日本一になる」という約束も果たした。
「4日間、満点をつけていいゴルフができた。親父の目の黒いうちに勝ってよかった。また自信がついた」と、スポーツニッポンに喜びのコメントが掲載されている。優勝賞金は250万円、副賞にグアムの土地を贈られている。また、初日64で4日間でのベストスコア賞を獲得、日本刀(120万円相当)が贈られ、父へのプレゼントにした。ちなみに、この時期、「ジャンボ尾崎」に対して「コンコルド青木」というニックネームがさかんにマスコミに使われていた。尾崎に対抗する青木の図式が、この日本一で明確になった。
プロフィル
青木功(あおき・いさお)1942~千葉県出身。中学卒業後、東京都民ゴルフ場に就職してゴルフの道へ。1964年にプロとなり、71年の関東プロで初優勝。国内では通算56勝を挙げ、賞金王には5度輝いている。海外でも米欧豪の各ツアーで勝利を挙げるなど世界中で活躍し、シニア入りしたあとも米シニアのチャンピオンズツアーで9勝と存在感を示した。2004年に世界殿堂入りし、08年には紫綬褒章を受章。13年に日本プロゴルフ殿堂入り。
第41回日本プロゴルフ選手権成績
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 青木功 | 275 | = 64 70 68 73 |
2 | 安田春雄 | 283 | = 73 71 69 70 |
3 | 島田幸作 | 285 | = 68 71 71 75 |
4 T | 陳清波 陳健忠 |
286 | = 71 72 69 74 = 71 72 69 74 |
6 T | 内田久寿雄 吉川一雄 豊田明夫 尾崎将司 山本善隆 |
286 | = 70 74 74 71 = 75 69 72 73 = 73 73 70 73 = 71 74 70 74 = 69 70 75 75 |