第50回日本女子プロゴルフ選手権(2017年)
2018.05.21
優勝トロフィーを掲げる李知姫(写真提供:日本女子プロゴルフ協会)
節目の50回大会、ベテラン・李知姫が大会初制覇
2017(平29)年、日本女子プロは50回の節目を迎えた。賞金総額は前年より6000万円増えた2億円。女子ツアー史上最高額である。第1回大会の賞金総額は45万円。実に444倍の伸び率である。記念すべき大会の会場は岩手県の安比高原GC(6640ヤード、パー71)。岩手県での開催は東日本大震災復興支援活動の一環でもあった。
9月7日の初日、132人の選手が岡本綾子の施した難セッティングに挑んだ。日没で4人がホールアウトできず、暫定首位に立ったのは4アンダー、67で回った一ノ瀬優希と柏原明日架。前年優勝の鈴木愛は2アンダーで5位につけた。
2日目はこの日ベストスコアの67で回った東浩子が通算4アンダーで柏原、黄アルムと首位に並んだ。狭く絞られたフェアウエーをキープすることに苦しむ選手が多い中、東は86%という高いフェアウエーキープ率をマーク。好スコアにつなげた。
3日目は38歳のベテラン、李知姫が9番パー4で175ヤードの2打目を入れてイーグルを奪うなどして68をマーク。通算3アンダーとして東とともに首位に立った。1打差の3位は2010年優勝者の藤田さいき。さらに1打差の4位にはイミニョンと黄がつけた。
最終日は雷雲の接近などで大幅にスタートが遅れた。そんな中、連覇がかかる鈴木がアウトで3バーディーを奪って首位をうかがうがインに入って失速。ツアー未勝利の東は何とか優勝戦線に食らいついていたが12番からの3連続ボギーで後退した。7年ぶりの大会2勝目を狙った藤田も苦戦。優勝争いは李知姫と、1組前を回るイミニョンに絞られつつあった。
終盤、17番パー3でイミニョンがもう少しでホールインワンかというスーパーショットを放ってバーディー。同じころ、李知姫が16番でパーパットを外し、両者は通算3アンダーで並んだ。
追いつかれた李知姫だったが、ここから底力を示す。17番で3mにつけてバーディー。再び単独首位に立った。後退していた東も15番に続いてこの17番でもバーディー。再び通算2アンダーとしてチャンスを復活させた。18番パー5、イミニョンは3打目を4mにつけるが決められない。通算3アンダーで72ホールを終えて最終組を待った。
夕暮れが近づく中、まず李知姫が3打目を上6mにつけた。3打目をグリーン左のラフに外した東の4打目はカップに向かったが直前でストップ。大金星は成らなかった。そして李知姫。タッチが少しでも強くなれば大きくオーバーしていきそうな難しいバーディーパットがカップに消えた。張り詰めていた表情が緩み、右手で口元を覆った。
ずっとドローが持ち球だった李知姫だったが、この年はフェードに取り組んでいた。若手主体の今の女子ツアーにおいて大ベテランといえる38歳となってなお進化を求めての改造だった。シーズン前半は結果が出なかった。それでも、夏場になってようやく上位に入ることが増え、ビッグタイトル獲得へとつながった。
「正直、年かなと思うこともあった」(スポーツニッポン紙より)と心中を吐露した李知姫。日本女子プロは15回目の出場で初めての栄冠だった。これが通算22勝目。「永久シード(通算30勝)にも近づきたい」(スポーツニッポン紙より)とあくなき向上心を示した。
プロフィル
李知姫(イ・チヒ)1979~韓国出身。1998年に韓国女子プロゴルフ協会に入会し、2000年に日本のプロテスト合格。翌年の大王製紙エリエールレディスで初優勝を飾った。通算22勝(17年終了時)で03、08、11年と賞金ランキング2位が3回。公式戦は08年日本女子オープン、17年日本女子プロの2勝。
第50回日本女子プロゴルフ選手権成績
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 李 知姫 | 279 | = 70 72 68 69 |
2 | イ ミニョン | 281 | = 70 71 71 69 |
3 | 東 浩子 | 282 | = 71 67 72 72 |
4 T | 川岸 史果 比嘉 真美子 柏原 明日架 |
283 | = 71 70 75 67 = 71 73 72 67 = 67 71 75 70 |
7 T | 葭葉 ルミ 鈴木 愛 藤田 さいき |
284 | = 73 73 69 69 = 69 73 71 71 = 70 72 69 73 |
10 T | 新海 美優 飯島 茜 フェービー・ヤオ 黄 アルム |
285 | = 71 72 72 70 = 70 76 69 70 = 69 72 73 71 = 70 68 74 73 |