第40回日本女子プロゴルフ選手権(2007年)
2016.08.15
トロフィーを掲げる飯島茜(提供日本女子プロゴルフ協会)
大会記録の好スコアで飯島茜が初メジャータイトル
日本女子プロが創設されて40年目の節目の大会は広島県のリージャスクレストGCグランドコース(6560ヤード、パー72)で行われた。ロバート・トレント・ジョーンズJr設計の戦略性の高いコースを選手たちがどう攻略するかが見どころのひとつだった。大会初日(9月6日)の最高気温は33.4度。厳しい残暑の中、132人の女子プロがスタートしていった。
首位に立ったのは4アンダー、68をマークした原江里菜、上原彩子、大塚有理子の3人。原は東北福祉大学在学中の19歳だ。前年チャンピオンの宮里藍(米ツアー参戦中のためこの年は欠場)が打ち立てた21歳の大会最年少優勝記録をわずか1年で塗り替えるのかと注目を集めた。
残暑がやわらいだ2日目は初日の5人を上回る9人の選手が60台でプレーした。そのうちの1人が飯島茜。68で回って通算5アンダーとし、10位から1打差の2位に浮上した。初日首位の3人は明暗が分かれた。上原が70で回って単独首位に立ったのに対して原は74、大塚は73とオーバーパーを叩いて順位を落とした。飯島と同じ2位には横峯さくらと大場美智恵がつけた。
3日目はアクシデントがあった。70で回り、通算7アンダーの単独3位でホールアウトした大場だったがスコアカードの記載不備で失格となってしまったのだ。
首位に立ったのは飯島。6バーディー、1ボギーの67をマークし、通算10アンダーとした。2位は2打差で横峯。通算6アンダーの3位には不動裕理と地元・広島出身の佐伯三貴が並び、大場がプレーするはずだった最終日最終組には佐伯が入った。飯島24歳、横峯21歳、佐伯22歳という若い最終組となった。
飯島と横峯は前週のゴルフ5レディスに続く最終日最終組対決となった。ゴルフ5レディスでは2人とも1打差2位から69で回って首位に並んでホールアウト。4ホールに及ぶプレーオフの末、飯島に軍配が上がっていた。
最終日は好天に恵まれ、セミの声が響く中でのプレーとなった。スタート前、飯島は「焦らずマイペースに自分のプレーをして、優勝がついてきたらいいと思います」と残り18ホールへの思いを語る。横峯も「自分らしくマイペースで、あきらめずに頑張りたいと思います」と同じく“マイペース”という言葉を使った。
アウトは飯島、横峯ともに2バーディー、2ボギーのプレーで2打差に変わりはなかった。佐伯はスコアを2つ落として後退した。インに入って11番で飯島、横峯ともにバーディーを奪い、優勝争いは一騎打ちとなった。直後、飯島が12番で8メートルのバーディーパットを沈めて差を広げる。勝負を決定付けたのは14番パー4だ。ともに1Wを握ったティーショットは横峯が30ヤードほど前に出た。しかし、先に打った飯島の2打目は1メートルにピタリ。横峯の2打目もグリーンをとらえたが10メートルの距離を残した。横峯は絶妙のタッチを見せたが惜しくも入らずパー。飯島が上からの1メートルを沈めて4打差をつけた。続く15番では飯島の内側につけた横峯がバーディーパットを大きくショートさせて3パットのボギー。パーに収めた飯島との差は5打にまで広がった。
17番はともにバーディー。飯島は14アンダーとした。最終18番はグリーン手前に池が広がるパー5である。優勝が確定的な飯島はきっちりと2打目を刻んで3オン。そして横峯は果敢に2オンを狙った。3番ウッドのショットはグリーンにキャリーして奥のカラーで止まった。ギャラリーが大きく沸いた。
飛距離では横峯に圧倒されていた飯島だったが、正確なショットでフェアウエーをとらえ、グリーンに乗せる自分のゴルフを淡々とやり遂げた。ウイニングパットとなったパーパットを沈めると、飯島は控えめに両手をあげた。涙はなかった。最後のシーンもこの日のゴルフと同様に派手さとは無縁だった。14アンダー、274は大会新記録。淡々と自分のゴルフを遂行することで派手なスコアをつくりあげた。
「先週優勝したことで本当に自信がついて、今週に入れました。そしてまた優勝できたので、それもメジャーで優勝できたことが本当にうれしいです」。優勝インタビューで飯島はそう話した。2週連続で横峯との優勝争いを制しての初メジャータイトル。「結果を考えずにプレーに集中できた気がします」とマイペースを貫けたことを勝因に挙げた。
2週続けて2位に終わり、前年のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップに続くメジャー連勝も逃した横峯は「1番で短いバーディーパットを外して流れをつかめませんでした。(飯島)茜さんは強かったです」と脱帽した。
プロフィル
飯島茜(いいじま・あかね)1983~千葉県出身。中学2年から本格的にゴルフに取り組み、3年時に全国中学選手権で優勝した。QTを経て2005年からツアー参戦。翌年初優勝を挙げた。08年廣済堂レディス初日に当時のツアータイとなる62のスコアと1ラウンド最少パット数ツアータイの19パットを記録している。通算7勝(2015年終了時)。
第40回日本女子プロゴルフ選手権成績
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 飯島 茜 | 274 | = 71 68 67 68 |
2 | 横峯 さくら | 278 | = 69 70 69 70 |
3 | 辛 炫周 | 281 | = 74 69 71 67 |
4 T | 山口 裕子 上原 彩子 上田 桃子 佐伯 三貴 |
283 | = 71 73 70 69 = 68 70 75 70 = 78 67 71 67 = 71 72 67 73 |
8 T | 福嶋 晃子 不動 裕理 諸見里 しのぶ |
284 | = 73 74 66 71 = 76 67 67 74 = 71 72 71 70 |