第2回日本女子プロゴルフ選手権(1969年)
2016.12.19
1969年7月26日付報知新聞
土壇場の大逆転、底力を見せた樋口が大会連覇
1968(昭和43)年に1、2期生26人で始まった日本女子プロは翌69年には3期生に入会間もない4期生まで加わり、計40人が覇を競った。会場は前年の天城CC(静岡県)から愛知県の貞宝CC(6575ヤード、パー74)に変更された。貞宝CCではこの年から5年続けて日本女子プロが開催されている。
大会は7月24、25日、木曜日と金曜日に行われた。第1回大会同様各日27ホールずつの計54ホールで争う形である。
初日、首位に立ったのは初代女王の樋口久子だった。アウト、イン、アウトの順でプレーし、38、38、37という安定したゴルフで2オーバーの113。2位の大場藤子に1打差をつけた。3位はさらに1打差で佐々木マサ子。2期生の山崎小夜子が7オーバーで4位につけた。
最終日、樋口は真っ赤なパンツに真っ白なポロシャツといういでたちで連覇を狙った。この日はイン、アウト、インの順でのプレーである。最初のインで2打差の3位につけていた佐々木がスタートホールから連続バーディーを奪うなどして35をマーク。パッティングに精彩を欠いた樋口は39と乱れ、佐々木に首位を奪われた。アウトは樋口、佐々木ともに37。残り9ホールとなった時点で佐々木が2オーバーで首位、樋口が2打差、大場が3打差で追う形となった。4位以降は大きく離れ、優勝争いはこの3人に絞られた。
10番パー5、佐々木がバーディーを奪い、樋口との差を3打に広げた。初優勝へ向かって、一歩踏み出したかに見えた。
しかし、ここから佐々木に重圧が忍び寄る。12番でグリーンエッジから3打を費やしてボギーとして以降、パーが取れなくなってしまう。15番まで4連続ボギー。安定したゴルフを取り戻し、15番でバーディーを奪った樋口が再び首位に立った。
16番パー3、佐々木が1オンに成功し、樋口はグリーンを捕えられなかったが、上がってみれば樋口がパーで佐々木は3パットのボギー。気落ちした佐々木は17番で痛恨の「8」を叩いて万事休す。最後の9ホールは46というまさかのスコアに終わった。
大場も最後の9ホールは41と崩れ、結果的には樋口が2位の大場に6打差をつける圧勝となった。
「12番から佐々木さんがボギーを続けたとき、ここで自分のペースを乱してはいけないと思いじっくり待ちました」(アサヒゴルフ誌より)と樋口。勝負強さをまざまざと見せつけた形となった。
これで樋口は前年の第1回日本女子プロ、日本女子オープンに続いて3試合連続優勝。揺るぎない地位を築いていった。
プロフィル
樋口久子(ひぐち・ひさこ)1945~埼玉県出身。1967年の第1回女子プロテストでトップ合格。日本女子プロは第1回大会からの7連覇を含む通算9勝、日本女子オープンは第1回大会からの4連覇を含む通算8勝を挙げている。国内通算69勝、賞金女王11回。76年には米女子ツアーで日本人選手として初優勝を飾り、77年の全米女子プロで日本人初のメジャー制覇を成し遂げた。97年から14年間日本女子プロゴルフ協会会長を務め、03年には日本人で初めて世界ゴルフ殿堂入りを果たしている。13年に日本プロゴルフ殿堂入り。
第2回日本女子プロゴルフ選手権成績
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 樋口 久子 | 225 | = 113 112 |
2 | 大場 藤子 | 231 | = 114 117 |
3 | 佐々木 マサ子 | 233 | = 115 118 |
4 T | 清水 和子 中村 悦子 二瓶 綾子 山崎 小夜子 |
240 | = 123 117 = 124 116 = 119 121 = 118 122 |
8 | 岡田 美智子 | 242 | = 122 120 |
9 | 小川 美智恵 | 243 | = 124 119 |
10 T | 小林 法子 坂本 美代子 |
245 | = 119 126 = 122 123 |