第81回日本プロゴルフ選手権(2013年)
2018.10.10
優勝トロフィーを掲げる金亨成(写真提供:日本プロゴルフ協会)
松山まさか・・・金亨成9打差逆転優勝
松山英樹が、まさかの逆転負けで初出場初優勝を逃した。金亨成(韓国)が通算5アンダーでツアータイ記録の9打差逆転で韓国勢として2人目のタイトルを手中にした。第1日、5アンダー66で呉阿順(中国)が首位に立った。松山は1打差の2位と好発進した。「練習場では全然当たらなかったのに、コースに行ったら当たるようになった。自分でもびっくり。ラッキーということで」と振り返ったが、ドライバーを使用したのは7ホールで「ピンがだいたい奥だったので、手前手前からいけばそんなに大けがをしないかなと。うまく攻めることが出来ました」というように4バーディー、ボギーなしの内容だった。
同じくボギーなしの4アンダーで回って2位につけたのがベテラン深堀圭一郎と、初出場の小平智。深堀は「松山のような大型の選手がでてきた。正面から向かうと勝てない。自分のスタイルを貫くことと、72ホール我慢することですね」と話した。09年に歩くことも困難なほど悪化した左足底の痛みでシード権を失った。「けがで一度切れたところから上がっていくのは大変なこと。2度咲き出来る選手になりたい」と復活を期した。小平は「松山はすごい刺激になります。早く追いつかないと」と、松山が若手のけん引役になっているようだ。
2日目に浮上したのはツアー2年目の藤本佳則で、通算8アンダーで首位に立った。16番から3連続バーディーなど7バーディー、1ボギーの65をマークした。1番で右の林に打ち込み、フェアアウエーに出して、第3打残り174ヤードを1メートルにつけ「パーでいけたのが、きょう一番よかった」と振り返った。小平と呉が2打差2位で追う展開。
松山はアクシデントに見舞われ、4打差4位に後退した。15番で左の林に打ち込み、6番アイアンでうまく抜けてパーセーブしたはずだったが、林の中でソールした際、松葉の落ち葉の上にあったボールが動いたシーンが、ギャラリープラザのビジョンに映し出され、問い合わせがあった。競技委員会はホールアウトした松山とビデオを確認し、2罰打となった。「ビデオでスローで見たら半転がりぐらい動いていた。気づかなかったので、そのまま打ってしまった。自分の不注意がすごい痛いなと思います」といい「(首位と)4打差で止まってくれたんで。あす少し縮めて、最終日に優勝争いできるように頑張りたい」と、前向きに話した。
3日目、松山は言葉以上のプレーを展開した。1番で大会初ボギーをたたいたが、徐々にペースを取り戻し、最終18番で奥のカラーから直接放り込むなど7バーディー、3ボギーの67をマークし、通算8アンダーで首位に立った。「(ルールミスを)昨日の夜も思い出していろいろ考えた。スタート前には忘れるようにして、途中から集中できるようになった」と振り返った。プロ4戦目で初めて首位で最終日を迎えることになり「緊張すると思う。どう力に変えるか。あわてないようにしたい」と話した。
松山と同じ愛媛県松山市出身の河野祐輝が3打差の2位に浮上。14番パー5(537ヤード)で2メートルのイーグルを決めるなど、第2打残り225ヤードを2メートルに2オンするイーグルなどで通算5アンダーとした。「パーセーブをしていくゴルフがうまくいっていた」といい、松山との最終組に「いい刺激を受けてやれると思います」と話した。
最終日は、意外な展開になる。期待を背負った松山は1番で50センチのパーパットを外して流れを失う。3番から4連続ボギーで一気に後退した。「簡単に打ちすぎてしまった。昨日までパットがよかったということもあって…。もったいないというか、入っていたら結果が違ったかもしれません」と振り返るように、パットの迷いはショットにも影響してボギーが止まらなくなった。
そんな松山の乱れを突いたのが、通算1オーバーで松山に9打差17位からスタートした金だった。「目標なんてなかった」という気楽さか、打つパットがすべて入って「びっくりした」という。2番から4連続、7番から2連続のバーディーでアウト29をマークし通算5アンダーに浮上、いつの間にか首位に立っていた。このスコアを後半も守り、先にホールアウトした。
後半落ち着いてきた松山は、15番で15メートルを入れて通算5アンダーとし首位に並んで最終18番へ。第1打を右のラフへ入れた。「グリーンは止まらないので、花道から転がしてパーを取る判断もあった。でも、ピンを狙った」という第2打は少し飛距離が足りずバンカーへ。2メートルに寄せたパーパットが右に抜けてボギー。最後の最後でプレーオフを逃した。「自分がしっかりやっていれば、こういう結果にならなかった。勉強になりました」と、唇をかんだ。
韓国勢としてS・K・ホ(04、05年)以来2人目の優勝を果たした金は「ドキドキしていた。松山選手もチャンスがいっぱいあったし。ハンパない、ホント、ハンパない」と、持っている日本語を駆使して喜びを表現した。
プロフィル
金亨成(キム・ヒョンソン)1980年5月12日生まれ、韓国出身2005年にプロ転向。韓国ツアーで3勝を挙げた後、日本ツアーに挑戦。08年のQTで7位に入り、09年から日本を主戦場にした。09年にフェアウエーキープ率1位などショットの精度には定評がある。12年のVanaH杯KBCオーガスタで初優勝。日本ツアー通算4勝。
第81回日本プロゴルフ選手権
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 金亨成(キムヒョンソン) | 279 | = 69 70 75 65 |
2 T | 藤本 佳則 藤田 寛之 松山 英樹 |
280 | = 69 65 78 68 = 72 72 67 69 = 67 71 67 75 |
5 | 小平 智 | 282 | = 67 69 74 72 |
6 T | 宮里 優作 谷口 徹 |
283 | = 68 70 77 68 = 74 69 69 71 |
8 T | 金 聖潤 P・マークセン 河野 祐輝 |
284 | = 70 70 73 71 = 69 72 72 71 = 69 71 69 75 |