第30回日本女子プロゴルフ選手権(1997年)
2014.12.15
トロフィーを掲げる福嶋晃子(日本女子プロゴルフ協会提供)
悔し涙を笑顔に変えた福嶋晃子
プロ野球選手を父に持ち、比類なき飛距離でジュニア時代から大きな注目を集めていた福嶋晃子がプロ入りしたのは1992(平成4)年、19歳の時だった。翌93年には早くもシードを獲得し、94年には初優勝と順調に歩を進める。95年には2勝を挙げて賞金ランキング3位に入り、96年に23歳の若さで賞金女王に上り詰めた。誰もが羨む快進撃。その福嶋に唯一足りなかったのがメジャータイトルだった。
チャンスは何度もあった。95年の日本女子オープンでは初日に3打差の首位に立ち、2日目はその差を4打に広げていたが3日目にまさかの81を叩いて涙を飲んだ。この年は日本女子プロ、明治乳業カップ(現LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ)でも初日首位発進しているが、優勝につなげることはできなかった。96年の日本女子プロでは3打差首位で最終日へ。今度こそメジャーを制するかと期待されたが77と崩れ去り4位。人目をはばからず涙を流した。同年の明治乳業カップは最終日に65と猛チャージをかけたが1打及ばず2位。97年の日本女子オープンでも2位に終わっていた。
メジャーへの思いは一層募る。そして迎えた97年の日本女子プロ、福嶋はすでにシーズン2勝を挙げて2年連続賞金女王に向けて突き進んでいた。
会場は岐阜県の富士CC塩河C(6532ヤード、パー73)。132人の選手が「女子プロ日本一」の称号をかけて争った。
初日は1アンダーの72で6位と静かなスタートを切った福嶋は2日目に69をマークして単独首位に浮上する。パーオンできなかったのはたったの2ホール、ボギーなしという会心のラウンドだった。
風が強くなった3日目、福嶋のショットはやや乱れ、ボギーを3つ叩いたがそれを上回る6個のバーディーを奪ってこの日は70。通算8アンダーとして2位の黄玉珍に4打差をつけた。3日目を終えてアンダパーはたったの4人。絶対的優位に立った福嶋だが「明日はみんな同じところからスタートという気持ちでやります」と気を引き締める。前年は3打差首位から逆転負け。メジャーの怖さが身に染みているからこそ出た言葉だった。
最終日は時折雨が降るコンディション。途中、雷による中断もあった。それでも、福嶋のゴルフは崩れなかった。アウトを3バーディー、1ボギーの34で回って差を広げ、インは1バーディー、2ボギーにまとめ、5打差の圧勝。他を寄せ付けないプレーだった。
前年の雪辱、そして悲願のメジャー初優勝にも涙はなかった。「毎日考えていたのは『慎重に。だけど守るな』でした。でもドキドキして、めちゃめちゃ嬉しかった」と笑顔で喜びをかみしめた。
これで勢いに乗った福嶋は続く雪印レディース東海クラシック、廣済堂レディスも勝って出場3試合連続優勝。さらには最終戦の明治乳業カップも制してメジャー2冠を達成した。獲得賞金は当時史上最高額となる9959万4094円を記録。見事、2年連続の賞金女王に輝いた。
プロフィル
福嶋晃子(ふくしま・あきこ)1973~神奈川県出身。ジュニア時代に28のタイトルを獲得し、高校卒業後にプロ入り。1996年に23歳にして賞金女王に輝き、翌年もその座を守った。99年には米女子ツアーに参戦して2勝を挙げている。国内通算24勝。
第30回日本女子プロゴルフ選手権成績
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 福嶋晃子 | 283 | = 72 69 70 72 |
2 | 島袋美幸 | 288 | = 72 75 72 69 |
3 | 村口史子 | 290 | = 73 74 71 72 |
4 | 黄玉珍 | 292 | = 74 69 72 77 |
5 T | 木村敏美 中野晶 野呂奈津子 山岡明美 |
293 | = 73 71 75 74 = 76 72 78 67 = 73 72 75 73 = 75 71 74 73 |
9 | 金愛淑 | 294 | = 72 73 72 77 |
10 T | 本山裕子 安井純子 吉川なよ子 |
295 | = 74 73 72 76 = 74 74 72 75 = 74 73 75 73 |