第43回日本オープンゴルフ選手権(1978年)
2023.10.10
優勝トロフィーを手に笑顔のバレステロス(JGAホームページから転載)
大荒れの“バレステロス劇場”の末に42年ぶりの連覇達成
前年覇者のセベ・バレステロス(スペイン)がスケールアップして戻ってきた。この年、1978(昭和53)年は欧州ツアーで4勝を挙げて3年連続賞金王に輝いたほか、米ツアーでも初優勝。21歳の若者はスーパースターへの道をひた走っていた。迎え撃つ日本勢では3週間前に世界マッチプレーを制した青木功に対する期待が高まっていた。
会場は横浜カントリークラブ西コース(6332m、パー72)。11月2日の初日、バレステロスは5バーディー、1ボギーの68で中村通と首位に並んだ。これで、前年大会初日から5ラウンド連続で首位である。
風邪で体調を崩している青木も負けじと69をマークして1打差3位につけた。
バレステロスは2日目、荒ぶるゴルフでスコアを伸ばす。6番、15番のパー5でともに2オンしてイーグルを奪ったほか5バーディー、4ボギーという出入りの激しさ。通算9アンダーとして単独首位に立った。
青木は前半のインでスコアを1つ落とすが、アウトでは4バーディー、ボギーなし。通算6アンダーとしてバレステロスから3打差の2位につけ、世界マッチプレー王者の意地を示した。
バレステロス、青木と3位の杉原輝雄が同組となった3日目は北風が強まり気温が下がった。バレステロスはスコアを1つ伸ばすが青木は73と苦戦。2位は死守するが10アンダーとしたバレステロスとは5打差がついてしまった。
最終日は序盤から大荒れの展開となる。5打差逆転で悲願の日本オープン初制覇を目論む青木が1番の2打目を痛恨のOB。いきなりダブルボギーを叩いてしまう。
2番ではバレステロスがティーショットをOB。以降も乱れてパー4でまさかの「8」と崩れた。
両者ともその後はやや持ち直していたが、インに入るとバレステロスが10、11番で連続ボギー。通算6アンダーとなり、青木との差は2打にまで縮まった。
12番以降、バレステロスと青木はこう着状態に入る。その隙を狙うかのように猛チャージをかけてきたのが8打差4位で最終日を迎えていたグラハム・マーシュ(豪州)だ。
アウトで3つスコアを伸ばしたあと、11番のダブルボギーで一度は脱落したかにみえたマーシュだったが、13、15、16、17番とバーディーを重ね、通算7アンダーとして一気にバレステロスを抜き去った。
青木に優勝の可能性がなくなった最終ホール、マーシュを1打差で追うバレステロスも7mのバーディーパットを決めなければならない状況に追い込まれていた。だが「入れること、勝つことしか考えていなかった」(アサヒゴルフより)と言うバレステロスは一発で沈め、こぶしを振り上げて咆哮した。
こうなると流れはバレステロスのものだ。プレーオフは1ホール目でバレステロスに凱歌が上がった。
1935、36(昭和10、11)年の宮本留吉以来42年ぶりとなる大会連覇。バレステロスが全英オープンを制して初のメジャータイトルを手にするのはこの翌年のことだ。
(文責・宮井善一)
プロフィル
セベリアーノ(セベ)・バレステロス1957(昭和32)年4月9日生まれ、スペイン出身。メジャーで5勝(全英オープン3勝、マスターズ2勝)し、欧州ツアーでは歴代最多の50勝をマークした。日本ツアーでは日本オープン2勝など計6勝を挙げている。1999年に世界ゴルフ殿堂入り。2011年、54歳で亡くなった。
第43回日本オープンゴルフ選手権
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | Severiano Ballesteros(スペイン) | ※281 | = 68 67 71 75 |
2 | Graham Marsh(AUS) | 281 | = 75 66 73 67 |
3 T | 中島 常幸(美津濃) 許 勝三(クート=台湾) 杉原 輝雄(ファーイースト) 青木 功(日本電建) |
285 | = 73 71 71 70 = 72 72 70 71 = 70 70 72 73 = 69 69 73 74 |
7 | 金井 清一(パレス) | 288 | = 69 73 74 72 |
8 | Mark James(UK) | 289 | = 74 72 69 74 |
9 T | 中村 通(サントリー) 山田 健一(東京興産) 尾崎 将司(日東興業) 前田 新作(美加ノ原) 郭 吉雄(台湾) |
290 | = 68 75 78 69 = 75 71 72 72 = 71 71 74 74 = 75 70 70 75 = 71 72 72 75 |
※プレーオフ
参加者数 参加者数 121名(アマ20名)