第56回日本女子プロゴルフ選手権(2023年)
2023.11.06
優勝トロフィーを掲げる神谷そら(Photo:Getty Images)
ルーキー神谷そらが初出場で優勝
8年ぶり2回目となる長崎県のパサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(6755ヤード、パー72)が舞台。前回は4日間の平均ストロークが75.3325という難しさで、アンダーパーで終えた選手は9人しかいなかった。だが、今回は初日からアンダーパーが続出。5アンダー、67で回った稲見萌寧、山内日菜子、西郷真央の3人が首位でスタートした。2日目、1打差4位の小祝さくらが5バーディー、ボギーなしの67をマークし、通算9アンダーで単独首位に立つ。1打差2位に西郷がつけ、3打差3位は稲見、山下美夢有、神谷そらの3人。神谷はこの日ベストスコアタイの66で初日の31位から急浮上した。
記録的な猛暑の名残で最高気温は連日30度を超えた。3日目は風が弱まり、熱気が体にまとわりつくようだった。そんな厳しい状況の中、北海道出身の小祝が71にまとめ、通算10アンダーで単独首位を守った。
西郷は3連続ボギーで一時離されかけたが、この日難易度1位だった池越えのパー3、17番でバーディーを奪って1打差をキープ。70で回った神谷が2打差3位につけた。
小祝は通算9勝を挙げているが公式競技は未勝利。2位に甘んじることが2回あった。西郷は2021(令和3)年の日本女子プロで逆転負けを喫した苦い経験がある。ともに、今度こその思いがあった。
この2人と最終組を回る神谷は前年、2度目の挑戦でプロテストに合格したばかりのルーキーである。前年の今大会は同い年でプロテストに一発合格していた川﨑春花が鮮やかなプレーで先輩たちを抜き去って優勝するシーンをテレビで眺めているしかなかった。
同い年の仲間に後れを取っていた神谷だったがプロ8戦目のフジサンケイレディスで早くも優勝。波はあるが卓越した飛距離の大型ルーキーとして注目を集めていた。
実績のある小祝と西郷が苦戦する中、神谷はしっかりとバーディーを重ねていく。10番でこの日4個目のバーディーを奪った時点で単独首位に立った。
差を3打に開いて迎えた15番パー5、神谷は1打目を286ヤード飛ばし、2打目をグリーン奥に運んでバーディー。通算13アンダーとした。小祝も負けじと2オンからのバーディーで3打差を死守。この時点で優勝争いは神谷と小祝に絞られた。
16番パー4、神谷は難解なグリーンで3パット。この日初めてのボギーを叩いた。小祝もピンチだったが長いパットを沈めてパーセーブした。
17番パー3、小祝が3mにつけてバーディーを奪う。神谷はパー。1ホールを残し、両者は1打差に接近した。
18番パー4、ティーショットを左に曲げた神谷だったがラフからの2打目をピン奥5mほどのカラーに運んだ。これを見た小祝の2打目はピンそばに着弾したが、神谷より奥にこぼれた。
勝負をかけた小祝の3打目はわずかに右に外れる。慎重にパターで寄せた神谷が前年の川﨑に続いて日本女子プロのタイトルを初出場でつかみ取った。
(文責・宮井善一)
プロフィル
神谷そら(かみや・そら)2003(平成15)年4月18日生まれ、岐阜県出身。2017年に全国中学選手権春季大会で優勝。麗澤瑞浪高校時代の2021年に中部女子アマを制した。2022年11月、2度目の挑戦となったプロテストでトップ合格。2023年にプロデビューし、4月のフジサンケイレディスで初優勝。日本女子プロで2勝目を挙げた。
第56回日本女子プロゴルフ選手権成績
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 神谷 そら | 276 | = 72 66 70 68 |
2 | 小祝 さくら | 277 | = 68 67 71 71 |
3 T | 山下 美夢有 西郷 真央 |
280 | = 68 70 72 70 = 67 69 71 73 |
5 T | 岩井 明愛 ささき しょうこ 蛭田 みな美 |
282 | = 68 74 72 68 = 72 71 68 71 = 70 69 71 72 |
8 T | 佐藤 心結 山内 日菜子 稲見 萌寧 |
283 | = 71 74 73 65 = 67 72 76 68 = 67 71 71 74 |