優勝カップを掲げる谷口徹（ＪＧＡホームページより転載）

谷口徹が史上最大差６打差逆転で２度目の戴冠

　神奈川・相模原ＧＣ東コース（7259ヤード、パー72）で行われた。大会前から注目を集めたのが、この年のマンシングウェアオープンＫＳＢカップでアマチュアとしてツアー優勝を飾った16歳、杉並学院高１年の石川遼。日本オープン初挑戦となった。
　第1日、石川は中嶋常幸、谷原秀人と同組でスタートした。１，２番連続ボギーも３番バーディーで一息ついたかに見えたが、そこから４ボギー、１ダブルボギーで前半は42。それでも後半は10番ボギー後に２つのバーディーを取り、77で65位発進になった。同組で１アンダー６位スタートの中嶋、谷原にプレーを絶賛された石川は、日刊スポーツ紙によると「スタート前は空気が薄い感じがした」と緊張したといい「前半ダラダラとスコアを落としたのに後半踏ん張れた。明日に向けて自信になります」と振り返った。
　４アンダーで回った横尾要が首位に立ち、２打差で片山晋呉、宮里聖志、深堀圭一郎、星野英正がつけた。
　第２日、横尾が1つ伸ばして通算５アンダーで首位を守った。10番スタートで９ホールを全部パー。アウトは1バーディー、1ボギー後の８番パー５で２オンしてのバーディーを奪った。「インは安定して見えるが、11番は４ｍを入れる冷や冷やのパー。12、13、17番もワンパットのパー。パットがいい感じで打てている」（ＪＧＡＨＰより）と振り返った。
　２年ぶりの優勝を狙う片山が横尾と同じ71で回って２打差２位をキープした。日刊スポーツ紙によると、ゴルフショップでパター２本を5000円に値引きしてもらって購入したものを使っているといい「太めのグリップでストロークが安定している」と話した。
　石川は３パット2回など３オーバー75で通算8オーバーでホールアウト。その時点で80位から徐々に上がっていったが、予選通過に1打足りない65位に終わった。「相当悔しいですね。悔しがるときは目いっぱい悔しがった方がいい。今晩は落ち込んでも、すぐに反省して立ち直りたい」と話した。
　第３日、未勝利の小田孔明が３アンダー69で回り、通算５アンダーで首位に浮上した。３番から３連続バーディーなどアウト33で回り、後半はパープレーにしのいだ。ゴルフを教えてくれた父が家の屋根からの転落事故で頭蓋骨を骨折して入院、リハビリ中とあって「喜ばせたい」と、プロ初優勝を目指す。
　片山が相変わらずの好位置。この日は８番で木の上にボールがのるハプニングもあったが、パープレーにまとめ、首位が変わっても２打差２位につけていた。「どのぐらいやれるか、明日は楽しみ」と逆転をもくろむ。
　最終日は波乱の展開になった。通算１オーバーと首位に６打差５位で最終組の２組前でスタートした谷口徹が１、２番バーディーからアウトを５バーディー、ボギーなしで回って通算４アンダーとし、序盤からスコアを落とした小田、伸び悩んだ片山を抜いて、一気に首位に立った。
　後半もバーディー、ボギーを繰り返しながらもスコアをキープ。最終18番では「（追う片山に）－５という数字を見せたかった。それがとどめですから」（ＪＧＡＨＰ）と、思惑通りバーディーを奪って通算５アンダーでホールアウト。この日もパープレーに終わった片山に２打差をつけて優勝を飾った。
　1976年島田幸作の並ぶ史上最大差の６打差逆転で、３年ぶり２度目のタイトルを手にした谷口。アイアンへの自信もあって、ティーショットに５番ウッドを多用する作戦が功を奏した。「ここまで行くとは思わなかった。パットの調子もよかったし、優勝できて本当に良かった」と興奮気味に声を上ずらせた。
（文責・赤坂厚）

プロフィル

谷口徹（たにぐち・とおる）
1968（昭和43）年２月10日生まれ、奈良県出身。同志社大学を経て1992年にプロ入り。1998年三菱ギャランでの初優勝を皮切りに日本オープン２勝、日本プロ３勝など通算20勝。2002、07年には賞金王に輝いている。シニアツアーでは2019年日本シニアオープンなど２勝を挙げている。

第72回日本オープンゴルフ選手権