第68回日本オープンゴルフ選手権(2003年)
2024.10.28
優勝カップを掲げる深堀圭一郎(JGAホームページより転載)
深堀圭一郎が5打差逆転で初の日本タイトル
日光CC(7027ヤード、パー71)が舞台となった大会。開幕前から「グリーンが固くて難しい」という声が上がっていた。第1日、首位に立ったのは東北福祉大から鳴り物入りでプロ入りした26歳の星野英正。インスタートの12番でボギーが先行したが、その後6つのバーディーを取ってコース記録の5アンダー66をマークした。それまでのコース記録は7年前に行われた日本アマで大学1年の星野自身がマークした67。自ら更新し「このコースが難しいという印象はありません。あの時の方がグリーンが固かったし速かった」(日刊スポーツ紙)と振り返った。
同じく首位に深堀圭一郎、川岸良兼が並んだ。大会初出場の高校3年、17歳の池田勇太が2アンダーの9位発進で注目を集めた。
第2日、ピン位置が難しくなり、平均ストローク74.344と各選手がスコアを落とす中で、4バーディー、3ボギーの1アンダー70で回った高橋竜彦が通算5アンダーとして4位から首位に浮上した。「やれることだけやろうと考えたのがよかった」と無理をしなかった。
この日話題をさらったのが大会5度目の優勝を狙う48歳の中嶋常幸。パープレーで踏ん張り、通算3アンダーで4位につけた。背筋痛に悩み、直近も3試合連続予選落ち。「今回も楽勝で予選落ちと思っていた。この試合になると気持ちが締まる。本能的に好きなんだよ」(スポーツ報知紙)と話した。
池田がアマチュアでただ一人、予選を通過して最終日までプレーすればローアマとなる権利を手にした。
第3日、今野康晴が星野のコース記録に並ぶ66をマークし、通算6アンダーで首位に浮上した。スポーツ報知紙によると、前年の大会で木の上に止まったボールの処理を巡って競技委員の不条理な裁定で優勝争いから脱落した。「今日はショットもパットもよかった。でも、今の自分は3打差でも安心できない」と気を引き締めた。
その3打差2位には川岸、丸山大輔、クレイグ・パリー(オーストラリア)がつけた。今野の日大先輩の川岸は「ここはダブルボギーも出るし、3打差は関係ない。これまで逆転優勝は全部最終組ですから」(日刊スポーツ紙)と自信を見せた。
最終日、大逆転劇が起こった。首位スタートの今野は前半3つスコアを伸ばして通算9アンダーとし、独走態勢かと思われた。追いかけていたのは5打差5位で今野の5組前にスタートした深堀で、1、2番連続バーディーなど前半を4アンダーで回って5アンダーとしていた。先に回っている深堀は10番バーディーも11番のボギーで再び4打差。ところが今野が突然崩れた。10番から3連続ボギーで通算6アンダーに後退。深堀は13番バーディーを奪って6アンダーとしており、15、17番でもバーディーを奪って突き放した。コース新記録の64をマークし、通算8アンダーでホールアウト。今野は13番以降、スコアを伸ばせず、深堀が5打差逆転優勝を飾った。
公式戦のタイトルは初めての深堀。「ホールアウトした瞬間、まだ(優勝が)決まっていなかったけど涙が出そうになった」(スポーツ報知紙)という。前年からパッティングで手が震えるスランプに陥っていたが、この日は10m以上が3回入るなど「神がかっていた」という。大会前に日光東照宮でおみくじを引いて大吉。ご利益があったのかもしれない。
(文責・赤坂厚)
プロフィル
深堀圭一郎(ふかぼり・けいいちろう)1968年10月9日生まれ、東京都出身。11歳から本格的にゴルフを始め、明大中野高で1985年日本ジュニアに優勝。明大卒業後、92年にプロテスト合格。97年ジャストシステムKSBオープンでツアー初優勝した。2005年に2勝を挙げるなど自己最高の賞金ランク3位に入った。07年にはJGTO選手会長を務めている。ツアー通算8勝。シニアツアーでも2勝を挙げている。
第68回日本オープンゴルフ選手権
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 深堀 圭一郎 | 276 | = 66 75 71 64 |
2 | 今野 康晴 | 278 | = 69 72 66 71 |
3 | Prayad Marksaeng | 281 | = 74 69 69 69 |
4T | 川岸 良兼 谷口 徹 Brendan Jones |
282 | = 66 72 72 72 = 73 72 69 68 = 70 71 72 69 |
7T | Craig Parry Steven Conran 丸山 大輔 |
283 | = 68 71 71 73 = 71 70 72 70 = 70 68 72 73 |
10 | 髙橋 竜彦 | 284 | = 67 70 75 72 |