第64回日本オープンゴルフ選手権(1999年)
2024.08.26
優勝カップを掲げる尾崎直道(JGAホームページより転載)
尾崎直道が大会初制覇、日本タイトル4冠達成
会場となった北海道・小樽GC(7200ヤード、パー72)は、洋芝の上に10センチ近いラフ、逆にグリーン周りを短く刈り込んでボールが転がり落ちようにするなど、第一に正確なショット力を必要とするようにセッティングされていた。第1日から、コースが牙をむく。大会5度優勝の尾崎将司が79、大会4度優勝の中嶋常幸が84をたたくなど、日刊スポーツ紙によると、この日の平均ストロークは78.188となった。
その中でただ一人、アンダーパーをマークしたのが尾崎直道。インスタートの10番でバーディーを奪うなど5バーディー、1ボギーの4アンダー68で回った。「よくフェアウエーをキープできた」(スポーツ報知紙)と振り返り、前年逆転負けで逃したタイトルに「ぜひリベンジをやってみたい」と話した。
第2日、尾崎直は10番でダブルボギーなど4オーバー76で貯金を吐き出して通算イーブンパーとなったが、首位をキープした。
アンダーパーがいなくなり、2位には3打差で湯原信光が浮上した。「ラフでは8、9番アイアンで打つのが限界」とラフの深さを嘆き「無理をしないで、飛距離を求めず、まずはフェアウエーへ打っている」と話した。
尾﨑将は通算11オーバーの43位で予選を通過したが、中嶋はこの日も80をたたき、通算20オーバーで予選落ちを喫した。ただ、アマチュアの長男の中島雅生が通算13オーバーにこらえて、57位で予選を通過した。この日の平均スコアは79.144とさらに悪化した。
第3日、難コースに雨と強風が加わってさらに難度が高まった。尾崎直は7番から3連続ボギーなど崩れかけたが、後半はイーブンにこらえて通算4オーバーで3日間首位を守った。この日の平均スコアは78.688となった。
上がってきたのが、尾崎直の兄2人。43位スタートの尾崎将は1番でバーディーを奪うなど、悪コンディションの中で3バーディー、ボギーなしの好プレーを見せ、通算8オーバーで4打差4位に急上昇した。「3日間で一番難しかった。そこで60台ならベストスコアだろう」と笑い、52歳での最年長優勝に向けては「優勝ラインは6オーバーと見ている。直道がそれ以上ならあいつの勝ち」と話した。
尾崎健夫は9番パー5でのダブルボギーをたたいたが74とこらえ、通算7オーバーで弟に3打差3位につけた。「このコースは自分から追い上げるのは難しい」とし「明日? じっと待つよ」と話した。2打差2位に踏みとどまった湯原を挟んで、尾崎3兄弟の優勝争いになった。
最終日、雨と強風で大荒れのコンディションになった。尾崎3兄弟は、首位直道と将司が1番から3連続ボギー。健夫は1、3番ボギーに2番ではダブルボギーをたたくスタートになった。尾崎直はその後もボギーが止まらず、前半42をたたいて、通算10オーバーに後退。間隙をついて、前半を1オーバーでこらえた湯原が通算7オーバーで首位に立ち、尾崎3兄弟が追撃する形になった。
我慢を重ねていた湯原だったが「終盤は風の読みが違って球をコントロールできなかった」(日刊スポーツ紙)と、15番のダブルボギーを含め、12番から5ホールで5つスコアを落とした。尾崎将、尾崎健もバーディーが取れずにズルズル後退した。
そんな中で、尾崎直が息を吹き返す。11番でボギーとしたが、その後はパーでこらえて首位に再び抜け出し、17番パー3へ。バーディーを決めて湯原らに2打差をつけ、そのままフィニッシュした。尾崎将は4位、尾崎健は6位、中島雅生がベストアマとなった。
通算10オーバーでの優勝は、1973年ツアー制度施行後は最悪の優勝スコアとなった。この日の平均スコアは79.794と4日間の中で最悪だった。
尾崎直は大会初優勝、史上5人目の日本タイトル4冠を達成した。大会の1カ月ほど前に、千葉日大一高時代の恩師、高野伸さんが亡くなった。「あの人のために何とか勝ちたかった。優勝ばかりを考えて4日間プレーしていた」と振り返った。
(文責・赤坂厚)
プロフィル
尾崎直道(おざき・なおみち)1956年5月18日生まれ、徳島県出身。兄2人を追って尾崎将の元で13歳からゴルフを始める。千葉日大一高を卒業後、1977年にプロテストに合格。1984年静岡オープンでツアー初優勝を飾る。1991年に4勝を挙げて初の賞金王。1993年からは米ツアーにも挑戦している。1997年ヨネックスオープン広島でツアー通算25勝目を挙げて永久シード選手に。ツアー通算32勝。賞金王2回(91、99年)。日本オープン(99、00年)日本プロ(99年)日本シリーズ(88、89、91年)日本プロマッチプレー(90年)と日本タイトル4冠を達成している。シニア入り後は米チャンピオンズツアーに挑戦した。国内シニアでは3勝を挙げ、2012年には賞金王となっている。
第64回日本オープンゴルフ選手権
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 尾崎 直道 | 298 | = 68 76 76 78 |
2T | 細川 和彦 湯原 信光 |
300 | = 76 75 73 76 = 74 73 75 78 |
4T | 尾崎 将司 髙見 和宏 |
301 | = 79 76 69 77 = 74 75 77 75 |
6T | 尾崎 健夫 横尾 要 |
302 | = 76 73 74 79 = 75 75 76 76 |
8 | 崔 京周 | 304 | = 78 75 73 78 |
9T | 今野 康晴 Eduardo Herrera D・イシイ |
305 | = 73 77 76 79 = 74 76 77 78 = 75 78 74 78 |