第54回日本オープンゴルフ選手権(1989年)
2024.03.25
優勝カップを掲げる尾崎将(JGAホームページより転載)
尾崎将司が日本タイトル年間3冠目を達成
大きな記録がかかった大会は、愛知・名古屋GC和合C(6473ヤード、パー70)で開催された。この年、尾崎将司が快進撃していた。日本プロマッチプレー、日本プロを制し、この大会で日本タイトル3冠なるかが、注目の的だった。第1日、尾崎将はインスタートの10番で右の林に入れ、4オンのダブルボギーをたたいた。「あれは厄払い」(日刊スポーツ紙)とホールアウト後は冗談めかしたのは、その後11、12番ですぐに取り返してイーブンに戻せたから。その後4つのバーディー、5つの1パットパーで4アンダー、首位に1打差の2位につけた。
首位に立ったのは、アマチュアの大倉清。8バーディー、3ボギーの5アンダー65で回り、10年ぶりの初日アマチュア首位となった。3度目の日本オープンで「しびれながらゴルフをしていました。予選通過が目標ですので」(スポーツニッポン紙)と話している。
第2日、尾崎将が早くも首位に出る。この日もスタート(1番)でボギーだったが、2番ですぐに取り返す展開。終盤で出入りが激しくなったが、5バーディー、3ボギーの68をマークし、通算6アンダーとした。「余計なところで3つボギーを出した」と不満を見せたが、決勝ラウンドの戦い方を聞かれ「2日間のどちらかで65以下のスコアを」と話した。
1打差の2位でブライアン・ジョーンズ(オーストラリア)、2打差3位に横山明仁、須貝昇がつけ、アマの大倉は16位に後退した。
第3日、尾崎将がスコアを伸ばした。6バーディー、3ボギーの67で回り、通算9アンダーとしてジョーンズに3打差で首位を守った。「今年は1ラウンド平均で4回に1回ミスしている」と話し始め、この日の9つのミスショットを数え上げるなど、3冠に王手をかけながらも冷静に自分のプレーを分析。「ミスもあるけど、大きなことを目指しているから一つ一つに真剣にならざるを得ない」(日刊スポーツ紙)と、気を引き締めた。
2オーバー10位でスタートした青木功が11番までに7バーディーを奪って、尾崎将を追いかけた。17番ボギー、18番ダブルボギーで通算2アンダー止まりだったが、一時は3打差に詰め寄り「できるかどうかわからないが、明日もう1回やってみる」と話した。
最終日はまさかの展開になった。逃げ切り濃厚とみられた尾崎将が崩れる。1つスコアを伸ばした後の9番。第1打を左の斜面に打ち込み、左打ちで出すなど5オン2パットのトリプルボギーで3打の貯金を吐き出してジョーンズに並ばれた。15番のボギーでついに首位を明け渡して、迎えた17番パー3。左のバンカーに打ち込んで万事休すと思われたが、そこから直接放り込むバーディー。奇跡的な1打で追いついた。最終18番の戦いは、ジョーンズが第2打を右にOBを打つダブルボギーで、ボギーに抑えた尾崎将に軍配が上がった。
前年に続く大会連覇で、日本タイトル年間3冠目を手にした。「運としか言いようがない。日頃の行いだろう」と笑った尾崎将は「正直言って、勝ち取ったという気持ちはない。内容はジョーンズに負けていた」と振り返った。1975年村上隆以来2人目の日本タイトル年間4冠(年間グランドスラム)に王手をかけた。残るは日本シリーズだが「私にとってメジャーは日本プロとオープン。(日本シリーズには)今のところ出る気はない」(日刊スポーツ紙)と話した。
(文責・赤坂厚)
プロフィル
尾崎将司(おざき・まさし)1947(昭和22)年1月24日生まれ、徳島県出身。徳島海南高校時代は野球部のエースとして選抜高校野球大会を制し、西鉄ライオンズに入団。実働3年で退団してプロゴルファーを目指した。プロデビュー2年目の1971年日本プロを皮切りに前人未踏の通算113勝(海外1勝を含む。1973年ツアー制度施行後は94勝)を挙げ、賞金王は計12回。2010年に世界ゴルフ殿堂入り。
第54回日本オープンゴルフ選手権
順位 | 選手名 | Total | Round |
---|---|---|---|
1 | 尾崎 将司(ジャンボ尾崎) | 274 | = 66 68 67 73 |
2 | Brian Jones(AUS) | 275 | = 67 68 69 71 |
3 | 横山 明仁(マザー牧場) | 278 | = 67 69 70 72 |
4T | 青木 功(日本電建) 上野 忠美(マツダ) |
281 | = 71 71 66 73 = 70 70 69 72 |
6 | 須貝 昇(嵐山) | 282 | = 69 67 70 76 |
7T | 金井 清一(ダイワ精工) 出口 栄太郎(三重) |
283 | = 68 74 69 72 = 71 66 73 73 |
9T | 室田 淳(フリー) 丸山 智弘(濱田精麦) 謝 敏男(鳳凰) |
284 | = 68 74 71 71 = 68 72 69 75 = 71 72 70 71 |
参加者数 132名(アマ23名)